FGFって何?FGFを使う目的とは?|再生医療のお話㉔

よく、FGFとか添加物とか成長因子とか聞くんですが、これは何ですか?

関根彩子
関根彩子

実はその質問は昨日も患者さんに聞かれました。実際、このFGFに関するご質問やご相談は多いです。その質問の多くは、「PRPに添加物を入れるのはよくないんでしょ?」「PRPにFGFを混ぜるのってどうなの?」といった不安や疑問を持った内容です。

いくつかのクリニックでFGFを使用した治療で患者様のお肌にトラブルが起きたというケースがSNSなどで報告されているのを見かけます。

関根彩子
関根彩子

FGFに興味があるもののトラブルが怖いと思っている方が少なくないと思いますでの今回のコラムでは、FGFについて詳しくお話いたします。

 

FGFとは

FGFの正式名Fibroblast growth factorの略で線維芽細胞増殖因子という意味です。以前にも「成長因子とは?」というテーマでお話をしましたが、FGFは体内で生成される「成長因子」です。その名前の通り線維芽細胞を増殖する働きのある因子です。FGFは美肌の元となるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作り出す線維芽細胞という細胞を刺激して働きを促したり、線維芽細胞の分化(線維芽細胞を増やす)を促す働きがあります。

保険診療で使用するFGFとは

遺伝子組換えヒトbFGF製剤

みなさんが『トラブルが起きるのでは?』と疑問を抱いているFGFとは、保険診療や美容医療の現場で使われている「遺伝子組換えヒトbFGF製剤」のことです。体内で細胞が放出する「天然のFGF」とは異なります。体内で生成される成長因子は自分由来のものですが、遺伝子組換えヒトbFGF製剤は、人工的に作られたものでフィブラスト®スプレーという薬で知られています。フィブラスト®スプレーは、瓶の中に粉末が入っており、使用するときは付属の溶解液に溶かしてスプレーとして使用します。保険適用病名は難治性潰瘍や2度熱傷など回復に時間を要する深い潰瘍、傷の治療に使用されます。1日1回、傷にスプレーをすると傷が治るのを早めてくれる効果があります。私も形成外科で保険診療を行っていた時は毎日のように処置に使用していました。この使い方は保険診療においては正しい使い方です。保険診療の場合、薬は保険病名が認められた病気にしか使用することができません。フィブラストスプレーを普通の擦り傷(擦過傷)に使用した場合は保険適用が認められず、使用することができません。

保険適用外で薬を使用する場合には自由診療となり、その診療費と薬代は全額患者様の負担になります。最近では、自由診療で再生医療にフィブラストスプレーが使用されています。

PRP療法で使用するFGFとは

フィブラストスプレーが再生医療に使用される代表的な治療は、PRPにフィブラストスプレーを混ぜて使う方法です。プレミアムPRPやぷるぷる注射と呼ばれることが多いです。

PRPとフィブラストスプレーを混ぜたものを皮膚に注入すると、それらが異物反応をおこし、肉芽形成というお肉を盛り上がらせる反応が起きます。その反応を利用して目の下のくぼみ、目の上のくぼみ、こめかみのくぼみなどを盛り上がらせるという目的で使われることが多いのですが、実は予想以上に盛り上がってしまったり、治療後時間が経過してから予期せぬしこりが表れ、左右差ができてしまったというトラブルが多く報告されています。一度できてしまったしこりは自然に消えることはほとんどなく、多くの場合は外科的切除が必要となってしまいます。なかには熟練した技量でほとんど合併症を起こさず治療できる先生もいらっしゃるようですが、予期せぬ合併症を避けるため当院のPRP療法では一切添加物を加えずに、患者さんのPRPのみで治療を行っています。

線維芽細胞移植に使用するFGFとは

お肌の再生医療の中でも線維芽細胞移植が大変人気です。線維芽細胞移植は自分の耳の後ろから皮膚を8ミリほど切除し、そこから線維芽細胞を取り出し、それを1億個に培養(増やし)し、お顔に注入する再生医療です。お顔に線維芽細胞を注入する際にFGFを混ぜるのと混ぜない選択肢があります。

線維芽細胞にFGFを混ぜる目的は、FGFが移植した線維芽細胞の細胞同士の接着率を高めるという点にあります。この場合、追加するFGFは微量であり、PRPにFGFを混ぜた時のようにしこりになるリスクは極めて低いことが分かっています。この手法は線維芽細胞移植がはじまった約20年前からずっと行われている方法であり、安全な治療です。

一般にお顔全体の線維芽細胞移植で、FGFを混ぜた場合と混ぜない場合では、必要な線維芽細胞の量が異なります。FGFを混ぜない場合は細胞の定着率を維持するためにより多くの線維芽細胞数が必要となります。

 ・線維芽細胞+FGF・・・1回約4cc(約4000個)の線維芽細胞✖️2セット(計8000個)

 ・線維芽細胞単独・・・1回で6cc(約6000個)の線維芽細胞✖️2セット(計12000個)

線維芽細胞移植は、2回セットで行うのがスタンダードな治療なので、FGFを混ぜた場合には合計8ccの線維芽細胞が必要となり、線維芽細胞単独の場合には合計12ccが必要となります。

 メリットデメリット
FGF無副作用の心配がない細胞の定着率が悪いので、多くの細胞を使わないと効果が出ない。 価格が高くなる。
FGF有細胞の定着率が向上するので少ない細胞で治療ができる。 価格が安くなる。副作用の不安がある。

上の表にまとめたように、FGFを混ぜることで線維芽細胞の定着率があがりますが、FGFに対してアレルギーが起きる可能性やしこりになるリスクはゼロではありません。逆にFGFを入れない場合は線維芽細胞の定着率は下がってしまうのでしっかりと定着させるためにはより多くの線維芽細胞数が必要になるのと、注入に要する時間が少し長くなります。また、注入量が増える分、コストも高くなります。(お値段についてはクリニックにお問い合わせください)

線維芽細胞移植を受ける患者様の多くは、ご自分の細胞を使うためアレルギー反応のリスクもなく安全に若返りが可能という理由から、線維芽細胞移植を希望されています。価格にこだわらず、ご自身の細胞で治療したい方は、FGFを混ぜずに線維芽細胞単独での治療をお勧めしております。

私は今まで多くの線維芽細胞移植を経験してきましたが、微量のFGFを線維芽細胞に混ぜることでしこりができるなどの合併症が起きた患者様は一人もいません。私の経験からも微量のFGFを混ぜることは極めてリスクは低いと言えますが、どんなに安全な治療でも100%合併症がないと言い切ることはできませんのでメリット、デメリットを考えて選択することが大切だと思います。線維芽細胞移植を受ける際にFGFを混ぜることを悩んでしまうという方は、納得いく選択ができるよう、詳しくご説明させていただきますので、お気軽にカウンセリングにお越しください。

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