皮膚の再生医療とは?線維芽細胞移植の始まり|再生医療のお話㉛

当院では自由診療でお顔のアンチエイジングのための真皮線維芽細胞移植を行っています。真皮線維芽細胞移植は、もともと火傷の治療で行われ、その効果は証明されていました。そして、真皮線維芽細胞移植は本日お話しする培養表皮の技術、理論を応用してアンチエイジングの治療に応用されるようになりました。

本日は、以前お話しした再生医療等製品のひとつである皮膚の再生医療、主にやけど治療に使われている「自家培養表皮」についてお話しします。

皮膚の再生医療の始まり

誰もが一度は経験したことがある小さな皮膚のケガは、ほとんどの場合は、皮膚がもつ再生能力で、数日で治ります。しかし、病気ややけどなどによって皮膚が大きく欠けてしまうと、自身の再生能力では足りなくなってしまうことがあります。

では、皮膚が大きく失われてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

私は形成外科専門医で、実はもともとは創を治したり、やけどを治したりする治療を数多く行ってきました。専門医として少し詳しく解説します。

皮膚が怪我などで欠損した場合、傷の程度によっては、軟膏などの外用剤を塗ることで治すこともありますが、広い範囲にお腰部場合には、体のほかの部分から表皮を一部採取し、それを最終的に移植する手術が多く行われます。

また、深達度の深い火傷で皮膚が壊死した場合も手術が必要となります。しかし、火傷によって壊死した皮膚を剥がし、そこに表皮を移植しても生着することはありません。

それではどうすればよいのでしょう?

ヒトの皮膚の構造
H.Green: SCIENTIFIC AMERICAN (Nov, 1991)

ここで皮膚の構造のおさらいです。皮膚は浅いところから表皮、真皮という層になっています。深い火傷を負い、皮膚が壊死してしまった皮膚は、表皮だけではなく真皮までダメージを負った状態です。この場合、真皮をはがしたところに人工真皮という人工的な皮膚の一部を貼付します。この人工的な皮膚は豚や馬のコラーゲンを使って製品化されています。人工真皮を貼付し2週間くらいすると人工真皮が筋膜や脂肪の上に定着し、真皮ができあがり、表皮が生着する下準備ができあがります。この下準備の期間がなければ表皮を移植しても表皮は全く生着しません。よって、真皮までダメージを負った火傷の場合、少なくとも2回の手術が必要となります。

しかし、全身熱傷で多くの部分の皮膚が壊死してしまった場合には、健常な皮膚が足りずに自分の皮膚だけではやけどを治療することが不可能となります。そういったときには、自家培養表皮という再生医療等製品を使用して治療することになります。

自家培養表皮 ジェイス®

再生医療による火傷の治療には下記のような歴史があり、保険治療でも皮膚の再生医療が行われるようになりました。

♢1975年

米国ハーバード大学のグリーン教授らは、「ヒトの表皮細胞の培養方法」を見つけました。これが「皮膚の再生医療」の始まりです。

♢1983年

全身に90% 以上の重症熱傷を負った米国の2 人の幼児が、この技術により救命され、世界中から大きく注目されました。

♢2007 年

日本で初めての再生医療等製品として国から認可を受け、 2009 年に保険適用となりました。

皮膚の再生医療、自家培養表皮の使い方

https://www.jpte.co.jp/customers/medical/JACE/index.html

私もこれまで自家培養表皮を使用してやけどの治療を行た症例は数多くあります。

自家培養表皮「自家」という言葉は、患者さん本人のものという意味です。実際の自家培養表皮を使った治療の流れとしてはやけどをした患者さんの健常な皮膚を少量メスで切り取り、それを培養施設に送ります。約3週間かけてこの表皮の細胞が培養され、シート状になって病院に届きます。これを、さきほども説明したように人工真皮をはって、表皮を定着させるための下準備を行い、その上にこの自家培養表皮を定着させます。

皮膚の再生医療「自家培養表皮」のメリットは、患者さん自身の細胞を使用するので、 免疫拒絶反応の可能性が極めて少ないことと、昔に行われていた皮膚移植のようなドナー提供を待つ必要がないことです。 

現在はこの自家培養表皮は火傷だけでなく先天性巨大色素性母斑、2016年からは表皮水疱症にも保険適応となっています。

このような歴史を経て、それが応用されて真皮線維芽細胞移植も自由診療で行われるようになっていたことは興味深いと思いませんか?真皮線維芽細胞移植はこのように病気の治療を応用して、開発された治療です。長年の実績のある治療ですので安心して施術を受けていただけたらと思います。

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