幹細胞は脂肪、骨髄、歯髄、臍帯のどれがよいの?|再生医療のお話⑮

再生医療は、すでにアンチエイジングや脳卒中後の後遺症、変形性膝関節症などの多くの治療に応用されています。前回はそれらの治療に使われている間葉系由来幹細胞について詳しくお話しました。

今回はその中でも脂肪、骨髄、歯髄、臍帯などどれ由来の幹細胞が良いのかを詳しくお話させていただきます。

脂肪由来幹細胞について

脂肪は皮膚の下に多く存在し、容易に採取することができ、骨髄に含まれる幹細胞の500倍もの量の幹細胞が含まれています。脂肪は、骨髄よりも容易に採取することができるため、安全で患者さんの負担が少なく、最近では、多くの再生医療に実際に用いられています。

脂肪由来幹細胞は、骨髄由来のものと比べて臓器修復を活発にするHGF(肝細胞増殖因子)やVEGF(血管内皮増殖因子)といった成長因子を多く産生するといわれています。

歯髄由来幹細胞について

歯髄とは、歯の神経です。2000年頃に歯髄からも幹細胞が採取できることが発見され、自然に抜ける乳歯、抜歯した大人の歯からも採取することができます。

歯髄幹細胞は骨髄由来幹細胞に比べ、新しい細胞に分化する能力が高く、細胞を増やす能力と組織を再生させるのを促進してくれます。また大人の歯である永久歯よりも若い乳歯からとれる幹細胞のほうが細胞を増やす能力と組織をさせる能力に優れていることがわかっています。

羊膜由来幹細胞

羊膜は、赤ちゃんを包む胎盤に含まれる膜です。多くの場合、出産の際、胎盤は捨てられてしまいますが、ここからも間葉系幹細胞の採取が可能です。

臍帯由来幹細胞

臍帯組織はへその緒のことで、元々胎児に由来する組織は幼若な細胞でできているため、成人の組織よりも増殖能が高いと考えられています。実際に臍帯由来の間葉系幹細胞を調べると、成人の骨髄や脂肪組織に由来する細胞と比較して、ES細胞(受精卵からとれる幹細胞)に近い性質を持っていることが分かっています。しかし、臍帯血に関しては,間葉系幹細胞の数が少なく,分娩してから細胞を採取するまでの時間および臍帯血量(胎盤とへその緒(さい帯)の中に含まれている血液量)により影響を受けやすいことから、間葉系幹細胞の採取には,量的問題や確実性が不安定な点がデメリットでもあります。

結論

以上のように、どの組織から採取するかによって幹細胞の特徴には、違いがあります。その違いを考慮すると自分の体から採取でき、安全、確実に治療に使いやすい間葉系幹細胞は脂肪由来幹細胞治療と言えるでしょう。

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